夫は石橋をたたいてわたるタイプの人間で、実直で真面目で、そういうところに惹かれて結婚したのに、私の目の前にいるのは、夫ではありませんでした。 もうこれは目を覚まさせないといけない!

私は両親が心配するので、夫がリストラに会った事も言わないできたのに、(でも夏、両親が孫達に会いに来たので、ばれてしまいましたが)私の親に借金を申し込むなんて言語道断。あの時ほど涙を飛び散らして怒った事はありませんでした。

怒りがおさまったら、とに角、株を止めさせることが先決だと思い、株を全部売ってしまわないと、実家に帰ると言いました。そしたら、株は売ってもいいけど、今売れる株と売れない株があると言います。

私は全て夫任せだったので、全く分りません。じゃあ売れない株と売れる株と今夜二人で決めようと提案して、それから山のように積まれた資料を見ながら、売れる株をリストにしていきました。資料を見ているうちに、夫は証券会社から2000万円の借金をして株を買っていた事も分ってきました。とに角その借金を返す分だけは売らないといけないということになり、2000万円相当の株を売る事になったのです。リストが出来た時は窓の外が明るくなっていました。幸い今なら借金も返せる。


それから夫は目が覚めたように、仕事を探し始めました。1996年の9月、3年ぶりで仕事に戻ったのです。

その後、私は両親の看病があったり、体調を崩したりしたので、一足先に退職してしまいました。夫が仕事をしていたので私は安心して両親の看病ができました。今は夫に心から感謝しています。

毎日好きな時間に起きて、好きな事をして、好きな物を料理して、誰からも「遊んでる」なんて言われないで、とても幸せだと感じています。

辛い時があっても、健康であれば、二人で頑張って行けば、必ず道が開かれる。50代の方がリストラで自殺するニュースを聞きますが、家族全員でぶつかって行けば道が開くと信じます。今考えるとこの経験はプラスでした。子供達がよく勉強するようになったし、家族の仕事に対する気持ちが変わってきました。 健康で仕事が出来るという、なんでもない事が、とても感謝できるようになりました。