インターネットの力は恐ろしいものです。
丁度一年前中国シンセン市で始まった反日運動の拡大もインターネットの役割が大きかったと言われますし、何かの問題提起をして多くの人に反応させるのにはインターネットが一番効果のある手段ではないでしょうか。

それを痛切に感じた事件が先日地方新聞、San Jose Mercury Newsの載っていました。

http://www.mercurynews.com/mld/mercurynews/news/local/14427996.htm から:

Leander HastyはシリコンバレーのElectronic Artsというゲームを作る会社のプログラマーでした。Leander Hastyとゲーム開発グループのメンバーは1日13時間、週6日という過酷な労働を会社から要求されていました。残業手当、ボーナスを要求しましたが、会社側は全く受け付けず、不満があるなら会社を辞めても良いという態度でした。

当時一緒に住んでいたフィアンセのErin Hoffmanは夕食にも帰る時間がない婚約者に会社まで夕食を届けるという生活を続けていました。過労の為に、婚約者が痩せていくのを見ながら、彼女はどうにかしなければと考えました。

そこで彼女はthe Live Journalというブログサイトに匿名でElectronic Arts社が従業員に強いる労働時間の実態を書き始めたのです。そしたら直ちに同じ境遇にある何百人と言うエンジニアーそしてその家族が反応しました。ブログサイトを立ち上げて24時間以内には15社のゲーム製作会社から仕事のオファーまで入ったのです。そして数ヵ月後には同じ境遇のエンジニアと家族達が団結する事になります。

HastyとElectronic Artsの従業員は会社を相手に未払いの残業手当を払うように集団訴訟を起こしたのです。結果、2001年2月14日から2006年2月14日までの5年間に渡る200人近いエンジニアの残業手当の支払い額は1兆6500億円に決定しました。


この裁判をきっかけに、他の会社も同じ問題で裁判中です。

Note:アメリカの被雇用者は時間給とサラリーの2種類に分類されます。サラリーの場合は年間の給与が決定されたら、ボーナスはなし、残業手当も付かない場合が殆どです。一応法律では残業とか、祝日出勤の場合、時間給50%上乗せで支払う事になっていますが、お役所以外の会社で、これを実行しているところは皆無といってよいでしょう。