私は小学校の6年の時お友達になったMさんを思う時があります。
6年の一学期から、私はいじめに会いました。理由は先生からひいきされている…という理由でした。不思議に具体的にどういういじめだったのか記憶にないので、特に悪質ないじめではなかったのでしょう。でもクラスには休み時間を一緒に過ごすようなお友達はいませんでした。その為に学校に行きたくないという気持ちは今でもはっきり覚えています。

2学期に席替えがあって、私はMさんという女の子の隣に座ることになりました。Mさんは大人しいけど、気の強い子で、男の子にも嫌な事をされたら、はっきりと怒る人でした。なんとなく当時のMさんのイメージは、一匹狼という感じで特に仲のよい子はいないようでした。

色々話すうちに、お母さんが早く亡くなった事、お父さんは生きているけど、彼女は親戚と暮らしている事。親戚の家でつらい思いをしている事などが分かってきました。子供心に、だからお友達がいないのかなあと思ったものです。

偶々家が同じ方向でいつも一緒に歩いて帰りました。途中にうどん屋さんがあり、私たちは意を決して、下校中にそこに入り、二人でおしるこを食べるという冒険をしました。当時は下校中に飲食店に寄るなんて校則に反した事だったのです。

私達は二人の秘密を持てた事の方が嬉しくて、ニコニコしてうどん屋さんを飛び出した事をはっきりと覚えています。

ところがクラスの男の子が私たちが飲食店から出てくるのを見ていたのです。もちろん先生に言いつけられ、ひいきされている私がどんな罰を受けるのだろうと、クラス中の子が嬉しそうでした。実はどんな罰があったのか覚えていないのですが、先生から叱られた事が嬉しかった事を覚えています。

私とMさんは別々の中学校に進み、卒業以来会うことはありませんでした。中学に入って間もなく、Mさんは北九州に引越して行きました。

ずっと後になって人伝に「彼女のお父さんは病院に入っていた事、だから親戚の間を転々としていた事」等を聞きました。

6年前私が実家に帰っている時、小学校のクラス会(先生なし)をする事になりました。集まったのはたったの10人。Mさんの事は誰も知りませんでした。その中のY君が、「自分はChiblitsに謝ならくてはならない。」と言い出しました。「昔、いじめてごめんね。」と。なんとなく足が進まないクラス会でしたが、思い出話に花が咲き、とても楽しいクラス会になりました。これで初めて小学校の思い出がほのぼのとしたものになったような気がします。

時々今でもMさんの事を思います。北九州に行ったMさんとずっと文通をすれば良かった。中学でいじめられなくなった私はもうMさんが必要じゃなくなったからか。Mさんの事を思う時心が疼きます。幸せな結婚をして、今もどこかで元気に暮らしていればいいなあ。