うちのじいさんはアメリカ人。兄姉5人の7人家族でモンタナ州のカナダの国境から30分も離れていない小さな町に住んでいました。東部から西部の太平洋岸まで通じるノーザン鉄道がその町を通っていましたが、父親はそこに勤める鉄道員。母親は専業主婦でしたから、5人の子供達を育てて大学までやる事は経済的にも大変な事であったであろうと思われます。

質素な生活は永久に身につくもので、日本のところ狭しの使い捨て主義で育った私は新婚当時びっくりすることばかりでした。物を大事に、シャツでも破れるまで着ますし、破れたシャツは車を拭く雑巾に、ボタンはちゃんと切り取って保存しています。ズボンはかなり無理してサイズが合わないものも着ていますが、これも勿論最後は雑巾に。ジッパーは切り取って保存しています。

当然物は増えていく一方で、ガレージや屋根裏にはわけも分からないような物が沢山溜め込んであり、時々これが私のいらいらをつのる原因でもあります。

30数年も一緒に生活をするとお互いに少しは歩み寄るところもあるわけで、私も自分ながら変わったなあと変に感心するところもあり、又変った自分に腹立たしくなることも。何だか、捨てられなくなるんですよねえ。

そんなじいさんが珍しい事には、石鹸を最後まで使ってくれません。私はこの使いふるしの石鹸が勿体無くて捨てられないのです。で結局どうするかと言うと5つくらいを暫く濡らして置いて、表面が柔らかくなったらぎゅ〜っと固めて一つにしてしまいます。そして3回に一回くらいはこの石鹸でお風呂に入ります。あとの2回は自分の好きな石鹸で。だから使い古しは溜まっていく一方。近い内に大きな石鹸にまとめて、じいさんに使ってもらおうと思っています。一番良い方法は小さくなった石鹸は新しい石鹸にぴったりと付けてその度に使い切ってしまうのが一番良いと思うんですけどねえ。

石鹸