に写っている10人は皆正装しておりました。
テーブルには真っ白のクロスがかかり、素敵な絵が描かれたお皿の横に銀のフォークが置かれ、 キャンドルが灯り、その横にカトレアの花が短いコップのようなものに生けられていました。 今年は皆還暦なのでちょっと贅沢をしたかったそうです。 

卒業した時はクラス50人でしたが、全員と毎日顔を会わせたのは最初の一年だけだったので、顔を覚えているのはこの9人だけです。 でも見慣れない方が一人。 誰だろう〜? ふくよかな感じでこんなに笑顔が素敵なの、これはきっと遠く北の方に嫁いだKさんに違いない! 

あまり一緒に行動したわけでもなく、卒業してから一度も会ったことがないのですが、私はKさんに尊敬の気持ちを持っておりました。 お母様は部落民解放の運動をされていると話してくれました。 小学校の時、学校の引率で見た映画が「破戒」でした。 幼い私には暗い映画で何も内容が理解できなかったのですが、あの映画が何だったのかを知ったのは中学の時です。 それからKさんに会うまで部落問題はすっかり私の頭から消えておりました。 「破戒」を観た時から私が大人になる程の時間が経っているのに、まだ部落問題が続いていたとは。 お母様の運動を語るKさんは私には眩しいような気がしました。 

その後10年程経って、旧友から聞いた話では彼女は里親運動に参加して、外国の孤児の里親になっているそうでした。 あのお母様にしてKさんらしい生きかただなぁと思ったものです。 その彼女が40年振りに昔と変らない素敵な笑顔でお元気そうに写っていたのでとても嬉しくなりました。 

日本の両親が亡くなり、年々故郷から遠くなっていきます。
こうして皆と会える回数もあと何回あるのかしらとふと思ってしまいました。



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