フりムン徳さんの住むカリフォニア・モントレーの山奥、ブラッドレーの春の山や牧場の新緑の色には、海と空の青色が入っている気さえもする。珍しい新緑の色に見える。それも2月の終わりから3月の終わりのたった1ヶ月間位である。その青色は場所を間違えたと思い、慌てて、空と海へ帰っていくようである。ほとんど年中が、枯れた灰色の牧草で覆われて、山の砂漠と言われるこの地方で、この短い春の季節だけは人々の心を和ませる。1年に1度周りの禿山にも緑の毛が生える。北のサンフランシスコへ車で3時間、南のロサンジェルスへ4時間半の海抜千フィートの山地だが,ゴルフで有名なぺブルビーチと同じモントレイカウンテイーになっている。
 
 町の男の人よりもおなごはんに見せたいこの季節。きれいに刈られた野球場の芝生みたいに鮮やかな緑の山々はそこらで見る緑と一味もふた味も違う。山の裾の大波小波の緩やかなうねりの大地は鮮やかな緑も、人間も食べたくなるような肥えた緑の色である。広い牧場がどこまで続ずく。山の中腹にある低木の濃い緑が、裾野の緑を一層くっきりと引き立てている。気持ちよく感じられるのも周りに家が少なく広い視界からくるのだろう。

 この時期にはいっせいに牛がどこからか戻ってくる。緑のある暖かい所から、又、戻ってきたのだろう。牧場で草を食んでいる牛の群れは、赤、白、黒い牛、様々である。空を見上げるとどこまでも澄み切った空が深い。まるで絵葉書みたいに見えるブラッドレーの景色である。

 この人間でも食べたくなるようなおいしそうな緑の草を牛たちは1日に約20ポンド(9キログラム)食べて、5ポンドから10ポンド太るらしい。
それが乾燥草ではその半分しか太らない。だから,春の牛たちの草を食っている姿は急がしそうで、生き生きしている。広大な緑の中の、黒、赤、白、の牛たち。緑色によく映える。このきれいな景色は動かないカラー写真ではもの足らん、動くカラー動画で撮るべきである。見ている人間をのどかな気持ちにさせる、心を癒してくれる。ところが人間どもは、この牛達を殺して肉として食べてしまう。どうも人間のすることは矛盾しているようである。

 私の土地の一部6エーカー(約150メートル四方)を柵で囲み、牛を飼おうとしたことがある。向かいのカーボーイから、私の土地に生えている牧草は牛を飼うのにアメリカで一番適していると聞いたからでもある。4、5頭なら夏冬でも乾燥草を買ってくる必要もなく、目の前の牧草で充分養えるし,あとは水飲み場があれば足りるからである。そのために、いろいろと牛について勉強をした。近くの牛を飼っている人に聞いたら、30頭の牛を飼育すれば、二人が生活するには十分な収入を稼げると言う。エエ話やないですか。

 そこで嫁はんと二人で、日曜日に開かれる近くの町テンプルトンの牛のオークションに何回も通った。 毎日曜日に何千頭の牛が連れてこられてオークションにかけられている。その風景は西部開拓時代そっくりである。 カウボーイハット、カウボーイの靴、襟に捲いたマフラーの姿を見ていると昔の開拓時代に戻ったような気持ちにさせられる。楽しい一時だった。
 階段状になった観客席の下に太い丈夫な鉄のパイプで作られた小さな柵がある。次々に,小さなよちよち歩きの子牛から2歳3歳4歳ぐらいまでの牛が順番に1頭あるいは2頭3頭6、7頭ずつ柵に入れられて競りにかけられる。場内の40人から50人ほとんどが男も女もカウボーイスタイル、すべてが白人、メキシカンは一人もいない。東洋人は初美と私だけ。彼らは私たちをどんな気持ちで見ているか気になる。ここは白人だけの来る場所だといっている感じがした。
 
 生まれたての子牛は、3ヶ月ぐらいは母親代わりになって粉ミルクをやるか、粉ミルク代を節約したかったら山羊を飼って山羊の乳を飲ます。だから、子牛はだいたい母親牛と一緒にせりに掛けられる。白い牛、赤い牛、黒い牛で値段が違う.アメリカで高い牛はブラックアンガスと言う黒い牛らしい。そういえば、そんな名前のレストランを何回か見たことがある。

 これだけ牛のことを勉強して、柵もほとんど出来あがり、水を飲ませるために,薄い鉄板で作った桶みたいなのを買ったまではよかったが、足の間接の痛みが酷くなってやむをえずこの計画を断念せざるをえなくなった。ところがこの土地を含む200メートル四方のフりムン徳さんの牧草地が、4月には花の楽園になる年がある。オレンジ色の花のじゅうたんが敷き詰められる。野生のカリフォニアポピーが咲き誇るのである。いったい何十万本のポピーの花か、数えることができない。
ああ、昔のの片思いのオナゴはんと手をつないで、オレンジ色の中を歩きたい。

by フリムン徳さん
プリムン徳さんはエッセイ本「フリムン徳さんの波瀾万丈記」を出版されています。

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フリムン徳さん、今日もエッセイ有難うございました。 御蔭様で感謝祭の準備ができます。 つまりブログがさぼれます。 
昨日はめまいが楽になったので七面鳥に欠かせないクランベリーソースを作りましたよ。 

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サラダボウルに一杯とはいくらなんでもちょっと作り過ぎじゃないですか、ばあさん。

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とても美味しいので家族やお友達に差し上げるつもりで作ったらこんなに作ってしまった! 
クランベリーソースの作り方はこちら


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