5月31日 日比谷野音に集合!

福島原発事故の厳正な捜査と起訴を求める大集会
福島の叫びを聞いてください。
情報拡散のご協力もお願いいたします。

日時■5月31日(金)13:30〜15:30
場所■日比谷野外音楽堂
16:00〜17:00 東京地検前で「激励行動」
17:30〜18:00 東電前抗議行動

エレーナ有座さんのチェロリサイタルのお知らせ

Saturday, May 25, 2013
at 4PM
San Francisco Conservatory
of Music, Recital Hall
Free Admission, Reception follows
Limited seats, please RSVP to Nagisa Ariza
nagisa@comcast.net
詳細はフライヤーをご覧ください。

devider

久し振りにフリムン徳さんからエッセイが届きました。
暫く前に「書けない 書けない」というメールがあったので嬉しい更新でした。
ブロガーなら何方も経験があると思うのですが
何を書いていいのか分からない日があるのですよね。
心配事や悲しい事があっても書けない。
自分の事なら書けますが 家族が書いて欲しくない時やお友達の事は書けない。
そんな時は書かないで自分の好きな事をするのが一番です。
と言う私は今日はフリムン徳さんのエッセイを載せて
一日好きな事をします。
フリムン徳さん  有難う〜。

前歯の一本欠けた写真

大事な大事な記念写真の前歯が一本欠けている。こんな記念写真見たことがない。誰もが首を傾げたくなるような写真。横5列に並んだ総勢64人の記念写真の最前列、11人掛けの座席の中ほどに空席の椅子があるのである。

記念写真で、撮影時に欠席した人の顔写真を写真上部のスペースに貼り付けてあるのを見かけることがあるが、この記念写真ではそのような貼付写真はない。その代わり、欠席者があるのが分かるように空席を作ってあるのである。そしてその空席に誰が座るべきだったか分かる仕掛けがあった。

この写真を人間の顔にたとえると、前歯が一本欠けた顔である。前歯が一本欠けた顔は、どこか間抜けで、哀れで、人を食って歯が欠けたような(これはフリムン徳さんの駄洒落でごじゃります)顔である。最前列の真ん中の椅子に主がいない空席の写真は、また、何かが起こったことを暗示している。少し変であり、奇妙である。写真屋さんもこんな歯の欠けたような記念写真を撮るのは初めてのことだったろう。でも、フリムン徳さんには一生忘れることのできない写真となった。

2012年10月27、28、29日に東京で開催された『喜界島百の台会』昭和18年喜界島生まれ(69歳)の同級生の記念写真である。還暦以降3年に一回開かれる全喜界島同級生の東京大会の記念写真である。いったいどうしてこんな前歯の一本欠けた写真を撮ったのか。なぜ詰めて寄せなかったのか、なぜ、椅子をひとつ減らさなかったのか。なぜみんなが反対しなかったのか。初め見た時は全く腑に落ちなかった。でも、そのうちフリムン徳さんには分かってきた。

この同級会に出席するために、フリムン徳さんはアメリカから日本に渡ってきた。故郷喜界島を15歳で出て、大阪、南米パラグアイ、アメリカと渡り歩き、もうすぐ70歳である。私の本「フリムン徳さんの波乱万丈記」を出版してくれたのも、喜界島の同級生だった。しかし、一度も全国喜界島昭和18年生の同級会に出席したことがなかった。フリムン徳さんはどうしても生きているうちに一度は、喜界島の同級会に出席したかったのであります。
 
この同級会に出席するために、フリムン徳さんは2年がかりで年金から費用をひねり出した。大会初日の10日前に、フリムン徳さんはアメリカから母親のいる奈良県大和郡山市に着いた。ところが、大会の5日前に、フリムン徳さんは、突然倒れて、病院へ運び込まれた。

最初にフリムン徳さんを診た医者、「もう、この人は死んでいる」。
フリムン徳さんの担当になったもう1人の医者、「あと二時間しか持たないだろう」。

東京、大阪、喜界島から親類縁者が駆けつけ、アメリカから嫁はんも飛んで来た。嫁はんはすっかりあきらめていた。証拠がいっぱいある。皆が慌てふためいているのを尻目に、フリムン徳さんは水の流れていない三途 の川の岸に立って、天国のウヤフジ達と会っていた。手の届くほど狭い三途の川の向こう岸のウヤフジ達は、皆さん、ふくよかな顔で幸せそうだった。皆さん髪の毛が短く、同じ白い服をきて、男女の見分けがつかなかった。子供はいなかった。天国へ行くのはほとんどがこの世での人生を全うした、おじいさん、おばあさんだからだろう。

しかし、天国のウヤフジ達は、「徳市よ、おまえはこちら側に渡って来るのはまだ早い」。

フリムン徳さんはこの世へ追い返された。誰もがそう簡単に出来ない、2日間の天国旅行だった。目的の同級生大会の3日前に天国から生きて帰ってきたが、集中治療室から抜け出して東京の同級生大会に駆けつけるのは、いかに無鉄砲なフリムン徳さんでもできなかった。天国旅行は疲れる。結局、フリムン徳さんの何十年来の希望は、日本にいながら、目前にしながら達成できなかった。
 
でも喜界島の同級生は出席できなかったフリムン徳さんの魂をアノ空席に座らせて写真を撮ってくれたのだ。アノ空席には世にも稀な天国旅行から帰ってきたフリムン徳さんの魂が座っているのだ。前歯の一本欠けたような空席の椅子は、喜界島同級生の深い絆、強い同級生愛、暖かい友情の空席の椅子である。同級生の皆さん、愛ガトウ様ドー、愛ガトウ様ドー!!


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